世界最大の資産運用会社であるBlackRock(ブラックロック)は、同社の2025年を振り返る投資総括「2025 investing wrapped」において、ビットコイン(BTC)現物ETF(上場投資信託)を今年の3大投資テーマの一つとして選出した。これは暗号資産(仮想通貨)が、金融市場で大きな存在になったことを象徴している。
ブラックロックが今年のマーケットを象徴する投資先として挙げたのは、以下の3つのETFだ。
- iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(iShares Bitcoin Trust:IBIT)…ビットコイン現物価格に連動する。
- iシェアーズ米国国債0-3カ月ETF(iShares 0-3 Month Treasury Bond ETF:SGOV)…米国債へのエクスポージャーを提供する。
- iシェアーズ・トップ20米国株ETF(iShares Top 20 U.S. Stocks ETF:TOPT)…時価総額で上位20の米国株のパフォーマンスをトレースする。
ビットコインが、アメリカの短期国債や「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる巨大IT企業群と並び、投資家のポートフォリオにおける「中核資産」として位置付けられた点は極めて重要だ。
2025年のビットコインは、価格面では厳しい状況が続いた。一時は過去最高値を更新したものの、その後の調整でピークから大幅に下落する局面も見られた。こうした値動きは、依然としてビットコインが高いボラティリティを有することを改めて示している。
価格が下落基調にもかかわらず、ブラックロックがビットコイン現物ETFを選んだ背景には、機関投資家の採用という市場構造の変化がある。Larry Fink(ラリー・フィンク)CEOら経営陣からは、政府系ファンドや長期投資が主体の機関投資家などがビットコインでポジションを構築し始めていることを示唆する発言が出ており、短期の価格変動に左右されない長期的な資産クラスとしての評価が進んでいると見られる。
実際に、ブラックロックのIBITは、2025年の年間リターンではマイナスとなっているにもかかわらず、約250億ドル(約3兆8750億円、1ドル=155円換算)超の資金が流入し、純資金流入額で世界のETFの上位に入るという成績を示した。
金融市場において、ビットコインのような暗号資産が主要テーマとしてブラックロックの戦略に組み込まれたことは象徴的だ。これは単なる価格トレンドを超え、暗号資産がグローバルな資本市場のポートフォリオに組み込まれつつあることを意味すると言えるだろう。
|文・編集:井上俊彦
|画像:Shutterstock
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