FBIは「ワンコイン」暗号資産詐欺の被害者に対し、2026年6月30日の期限までに政府補償の申請を行うよう呼び掛けている。なお、差し押さえ資産のうち4000万ドル超が依然として補償対象として残っている。
米司法省(DOJ)は4月13日に補償申請手続き(レミッション・クレーム)を開始し、適格投資家が資金にアクセスできるようにした。被害者はonecoinremission.com(唯一の公式申請ポータル)を通じて、オンライン、郵送、またはEメールで申請が可能。
ワンコインは2014年、ブルガリア・ソフィアを拠点に開始された。創業者らは「次世代の主要暗号資産」として同案件を売り出した。共同創業者のルジャ・イグナトヴァ氏とカール・セバスチャン・グリーンウッド氏は、「ビットコイン(BTC)の強力な競合」としてワンコインを宣伝し、数十カ国の投資家を取り込んだ。
実際の暗号資産とは異なり、ワンコインには本物のブロックチェーンが存在せず、トークンにも価値はなかった。
イグナトヴァ氏とグリーンウッド氏はマルチ商法ネットワークで事業を拡大した。既存投資家が新規購入者を勧誘し、紹介報酬を得る仕組みだった。これにより、世界中で合計4000億円超の損失が生じた。
タイ当局は2018年7月にグリーンウッド氏を逮捕し、米当局が直後に同氏を送還した。2023年9月に懲役20年の実刑判決が下され、3億ドルの没収を命じられた。一方、イグナトヴァ氏は2017年から 逃亡を続け、FBIの「最重要指名手配」リストに掲載されたままとなっている。
さらに本人の外見変更を示唆する報道もあり、捜査の難航につながっている。
FBIニューヨーク支局ジェームズ・C・バーナクルJr.特別捜査官補佐は、当該詐欺による被害の規模を説明した。
本補償プログラムは、2014年第4四半期から2019年第4四半期までにワンコインを購入し、実質的な損失を被った個人が対象。ただし、申請しても必ず補償されるわけではない。
BeInCryptoは、米司法省による補償手続き開始について4月に報じている。申請は完全無料。司法省は、申請代行などで手数料を請求する業者は「二次詐欺」であると注意喚起している。また、米国務省はイグナトヴァ氏逮捕につながる情報に対し、500万ドルの報奨金を設けている。
6月30日の締切が迫る中、適格な被害者に残された期間はわずかとなった。司法省による広範な暗号資産詐欺取り締まりや、詐欺インフラへの警戒の呼び掛けは、ワンコイン投資家にとってこの補償基金が直接的な救済の道であり続ける理由を示すものとなっている。


