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アダム・バック氏、サトシのビットコイン保有説に異議

2026/04/26 20:15
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ハッシュキャッシュ考案者であり、ビットコイン初期開発の先駆的存在でもあるアダム・バック氏が、新たなサトシ・ナカモトのドキュメンタリーを全面的に批判した。同氏はビットコインのマイニングパターンやコイン所有に関する技術的前提に異議を唱え、作品の中核仮説を根本から覆した。

バック氏がX上で発表した詳細な反論は、同ドキュメンタリーが初期マイニングデータや、サトシの保有量推定に使われる「パトシパターン」の解釈に、重大な欠陥があることを指摘した。

パトシパターンの問題

このドキュメンタリーは、「パトシパターン」と呼ばれる手法に大きく依存している。これはビットコインのブロックタイムスタンプを統計解析することで、サトシがマイニングしたブロックを特定できると主張するもの。分析によれば、サトシは開始初年度のブロックの約20〜40%を採掘し、50万〜100万ビットコインを保有していたとされる。

これに対しバック氏は、こうした分析自体が根本的に信頼できないと主張する。

ビットコインネットワークが成長し、より多くの参加者が集まるにつれ、こうしたパターンの判別はさらに曖昧かつ確実性のないものになった。

マイナー参入が増加するにつれ、特定性が失われパトシパターンが「ノイズ」と化していったとも指摘されている。結果として、ドキュメンタリーは初期マイニング活動を特定の人物に関連付けできる精度を過大評価している可能性が高い。

「サトシは一度も売却していない」仮説の誤り

同ドキュメンタリーの根本的な主張は、「サトシは一度もビットコインを売却していない」という仮定に立脚している。そして、これこそがサトシの死を証明する根拠だとしている。

この論理は、サトシが生存していれば、ビットコインが0ドルから10万ドルにまで高騰した以上、必ず一部を費消したか売却したであろう、という考えに基づく。

これについてバック氏は真っ向から異議を唱える。同氏は、パトシパターンがそもそもサトシが保有し続けているとは証明できていないと指摘する。また、仮にパターン通りにサトシが初期採掘した事実があっても、保有コインが手付かずのまま残っている保障はないと述べた。

つまりパトシパターンが信頼できなくなる後期の時期には、サトシが匿名で一部コインを売却することも不可能ではない。

時系列の矛盾と技術的瑕疵

バック氏は同ドキュメンタリーの「時系列証拠」にも重大な粗雑さがあると指摘した。例として、ジェームソン・ロップ氏の研究を引用し、サトシがビットコインネットワークでテスト送金をしていた正にその時、ハル・フィニー氏はマラソンを走っていた。これはフィニー氏=サトシ説を否定する直接的な証拠となる。

バック氏は、ドキュメンタリーの論法を「ゲルマン失念(Gell-Mann amnesia)」型と表現した。これは初期仮説に反する新証拠が現れても、都合よく無視し論証を進める姿勢を指す。フィニー氏時系列の反証が指摘されると、製作者側はすぐレンサッサマン氏を新たな候補に据えて論をすり替え、元の証拠の矛盾を検証しなかった。

また、同ドキュメンタリーは掲示板投稿分析をもとにEU圏住民を初めは除外したが、後になってタイムゾーンの矛盾を無視し、サッサマン氏が候補だと主張したとバック氏は指摘している。

このパターンは、最初に結論ありきで物語を作り、その後に都合のいい証拠を後付けしていった構成であることを窺わせる。

C++とWindowsの問題

さらにバック氏は、カム氏およびサッサマン氏の未亡人が示した致命的な論点にも言及した。サッサマン氏はC++の知識がなく、Windowsマシンを所有したこともない。ビットコイン最初期のソースコードはC++で実装されていたため、これは致命的な技術的障壁である。

加えて、サッサマン氏は生前、ビットコインへの批判的な態度が目立ち、本人が秘密裏に共同開発者だった可能性は極めて低い。

サトシ・ナカモトの謎への含意

バック氏による今回の分析は、決してサトシ・ナカモトの正体を最終的に解明したものではない。ただし、同ドキュメンタリーの主張を個別に論破し、理論を破綻させている。初期マイニングデータがあまりに曖昧であること、「未売却」仮説が根拠に乏しいことなど、サトシの正体に関する強い結論を導く根拠にはならない。

この議論は、技術的なフォレンジック手法のみでサトシ解明を試みる困難さを改めて浮き彫りにする。最も精緻なパターン解析も、ネットワーク参加者が増えマイニング分散が進むほど精度を失う。

なお、ニック・サボ氏のような候補者の再検討も、ドキュメンタリー否定後に増えている。一部の研究者は、サトシ自身の名乗り出か新証拠出現がない限り、正体解明は永遠に困難だと指摘する。

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